相場上昇時のIV上昇

日経平均VI指数

2023/4/28 15.22 16.27 16.79 15.11
2023/5/1 15.62 15.56 15.78 15.2
2023/5/2 15.81 15.84 16.02 15.62
2023/5/8 16.2 16.09 16.35 15.94
2023/5/9 15.77 15.85 15.85 15.41
2023/5/10 16.09 15.82 16.22 15.82
2023/5/11 15.62 15.61 15.82 15.28
2023/5/12 15.78 15.52 16.13 15.37
2023/5/15 16.09 16.22 16.29 15.89
2023/5/16 17.24 16.52 17.31 16.43
2023/5/17 17.78 17.26 17.98 17.26
2023/5/18 20.47 18.75 20.52 18.59
2023/5/19 20.07 22.42 22.48 20.05

 

終値     21日平均  騰落率  21日ボラ 250日ボラ

5月19日 30,808.35 29,166.09 0.77% 12.12% 20.18%
5月18日 30,573.93 29,056.87 1.60% 12.05% 20.40%
5月17日 30,093.59 28,957.80 0.84% 11.42% 20.44%
5月16日 29,842.99 28,865.58 0.73% 11.20% 20.42%
5月15日 29,626.34 28,781.76 0.81% 11.11% 20.41%
5月12日 29,388.30 28,700.66 0.90% 11.35% 20.63%
5月11日 29,126.72 28,617.11 0.02% 11.07% 20.62%
5月10日 29,122.18 28,540.52 -0.41% 11.03% 20.62%
5月9日 29,242.82 28,461.97 1.01% 12.33% 20.71%
5月8日 28,949.88 28,393.89 -0.71% 14.07% 20.73%
5月2日 29,157.95 28,361.97 0.12% 13.63% 20.72%
5月1日 29,123.18 28,315.79 0.92% 13.71% 20.85%
4月28日 28,856.44 28,264.28 1.40% 13.72% 20.92%
4月27日 28,457.68 28,213.16 0.15% 12.84% 20.90%
4月26日 28,416.47 28,185.84 -0.71% 13.78% 20.93%

VI指数が上昇し始めたのは5/15

上昇率で一番高かったのは5/18 1.6%

日経平均のボラティリティ自体は上昇していない

とは言え5/11から6営業日で1800円、6%ほどの上昇。21日ボラの0.62%で6営業日の変動率をみると±1.52%が1σであり6%の上昇は+4σに相当する。

ボラをVI指数の16%程度だとすると1日0.84%程度。6日で±2%が1σ。

オプションを売っている側からみると3日で2%前後の変動は想定の範囲内と言える。オプションをショートしている場合は損切りするかデルタヘッジを行う場合が多いだろう。

デルタヘッジする場合はオプション自体はそのままとなる。オプション価格の上昇要因には直接はなりにくい。また、今回のような場合原資産の価格というよりIVが上昇することにより余計に含み損が増加しているように見える。

ヘッジのないオプション売りは証拠金の増大も招く。通常はゆるやかに上昇する過程でIVも低くなる。仮にデルタの動きと逆であってもゆるやかなのでセータ、及びベガによってプラスになろう。しかし、上昇が続いてしまうとそうではなくなる。とは言え、アウトの場合は最終的にインしなければいいだけである。多少の動きは様子を見るのがほとんどであろう。しかし、さらにデルタが逆にいく、さらに逆にいくとなると、1日の上昇率はたいしたことがなくてもアウトだった権利行使位置も下手したらインしているかもしれない。5%も動くともはやインしていることが多いと思う。

期限までまだ間があるとしても、そのままポジションを保有するのはデルタの方向を当てにいっているのと変わらない。

通常の相場でも同じようにオプションショートの損切りはあるはずであるが、それが連続的に起こったと言えるのかもしれない。他方、上昇しているのにプットのIVまで上がるのはおかしいという向きもある。しかし、相場が急落しているときにはコールのIVは上昇する。当然ヘッジ買いの需要も多いと思われるが、一方のオプションの値が高くなれば同権利行使価格の他方のオプションも高くならざるを得ない。日経平均30000円のとき30000円のコールが500円でプットが800円などということはない。

しかし、そこまで相場に過熱感のない5/15日あたりからVI指数が下げ止まり上昇に転じているのは興味深い。通常の相場であればVI指数は横ばいか下落していたはずである。VI指数はコールとプットを合算してしまうため細かな分析には向かない。

5/16のスマイルカーブをみるとコール側はフラット気味で全体的に上に移動している

5/17もさらに上に移動、コールのアウトがより上にいく

5/18はさらに上に移動どちらかというとプット側の上昇幅が大きい

そして5/19の寄り付近はコール側、特にアウトのコールの上昇幅が一番大きくなっており、プット側とコール側おなじような形状に

このようにみるとコール側がまず反応したわけではないことがわかる。相場上昇時はATMをスマイルカーブ上を右に移動していくように見えるパターンが多い。コール側の最近の傾向はATM付近が高くなり外にいくに従い若干低くなりファーアウトからまた盛り返すという形で、相場が上昇するとATMが右に移動するだけだとIVは若干低くなってしまうが、実際は若干上昇する。要するにアウトのIVは若干下がることになる。日経平均VI指数の計算でもそうだが、インザマネーのIVはまったく影響しない。プット側は逆に若干上昇気味になる。

この場合の上昇とか下落というのは当該権利行使価格で前回基準より上昇しているかどうかである。プット側はATMに向けてIVは低下するのでATMが右に移動するとさらに低いIVがプット側に追加されることになる。

このようなことから相場が上昇しているときはIV自体は全体として横ばいかゆるやかに下落する傾向にあり、当然日経平均VI指数も同様となる。

そうすると、5/19はコール側が大きく上昇、特にアウトにかけてより大きくなっていることからコール売りの買戻しなのか新規の買いなのかは別として相当数の成買いが入ったものと思われる。普通に考えればコールの売り方の買戻し需要であろう。

0DTEでも同じであるが、最近のオプション市場ではヘッジをしていないショーターが多いようである。通常であればコールの売りのヘッジであるデルタヘッジによる先物買いも相場上昇の一因と思われるが、それはあまりないようである。そもそもデルタヘッジをやるのであればオプションを買い戻す必要はない。買戻しの需要がこれまでよりも多かったためにIVの上昇を招いたとみるほうが自然である。

他方、ではコールショーターの買戻しが一段落したので上昇も一段落かというとそうではないはずだ。今回の上昇の一因にコールショーターの踏み上げがそこまで寄与していないからである。もっとも相場上昇によるIVの上昇は一段落したとみていいのかもしれない。