カバードコール戦略をやり続けると儲かるのか?

アメリカの株式オプションなどの場合、仮にコールがインしても保有している株式を売り渡せばよいから実質的な損はないように見える。

しかし、当然株価が下落すればその分の含み損は発生する。とは言え、コールを売る、という意味での損失は発生しないとも言える。なぜなら、インしながら原資産を保有し続ければコールは売り続ける事ができる。原資産が含み損であっても長期間コールを売り続ければそのうちコールのプレミアム収入が含み損を上回るかもしれない。更に原資産の価格も戻るかもしれない。

さて、ここで、仮にコールがインした場合は保有する原資産を当該コールの権利行使価格で売却することになるが、コールを売り続けるためにまた原資産を購入しなおす必要がある。もっとも原資産を保有しないで証拠金取引で行う事もできるがまずは原資産を保有する場合で考える。

原資産を購入し直してまたコールを売る事を繰り返す。

いずれにせよ、原資産が正規分布すると考える。

上昇も下落も確立は半々である。例えばδ0.25のコールオプションを売り続けるということを考えると、インする確率は毎回25%である。4回に1回は原資産を購入しなおすということになるが、購入する価格は権利行使価格より上になる可能性がある。

原資産を常に保有し続けるカバードコールは一見するとコール売りのプレミアムは確実にとれるように見えるが、実際は原資産を購入しなおすことになるので実際は当初購入した原資産価格よりも高い価格で購入し直すこともある。

逆に価格が下落する場合はコール売りは権利放棄されプレミアムは丸取りになるが原資産は含み損を抱えている場合がある。

視点を変えてみると、価格が上昇した場合、原資産を単純に買い保有しているだけであれば値上がり益は総取りであるが、コールを売っている場合はその権利行使価格より上の上昇益は放棄することになる。

そうすると、株価が正規分布すると仮定すると、上昇も下落も半々でああるから下落が-50上昇が+50でプラマイゼロのところを、コールを売ることによって例えば+40くらいになり、トータル-10となる。これが原資産だから、結局コールのプレミアムはこの-10を上回るプレミアム収入がなければならないことになる。

つまりこれは当該原資産のボラティリティ以上のIVのコールを売って初めて利益となるという結論になる。

そしてもしもそのようなコールを継続的に売ることができるならわざわざ原資産を保有する必要もなくネイキッドで売り続けてもいずれは利益になる。原資産のボラより高いIVならば。

しかし、原資産のボラより高いIVかどうかは少なくともSQ近辺までは分からない。

従って、やみくもにカバードコール戦略をやり続けても必ず儲かるとは言えない。他方、比較的にIVの高いプットを売るカバードプット戦略をやり続ければ儲かるかと言えばこれも同じように必ずしも儲かるとは言えないだろう。この場合はキャッシュを保有してプットを売る戦略になる。権利行使価格にインすれば原資産を買わされることになり、原資産を保有し続ければそのうち株価が戻し、安く買った事になる。しかし、相場が下落相場の場合は連続してインする可能性もある。そうなると、連続でインし、原資産を買う余力が枯渇する事態になるかもしれない。買わされた原資産は塩漬け状態で保有することになる。余力がないのでキャッシュセキュアードプットでプットを売る事はできず、カバードコール戦略でプレミアムを稼げばいいと安易にコールを売ってしまうと相場が戻り今度はコールがインし原資産を売り渡すことになる。
この時、プットがインし原資産を買わされた時よりも高い価格で原資産が売却できれば利益となる。