正規分布の確率とデルタからオプションがインする確率を求めてみよう

エクセルでの正規分布の計算

例えば,20歳日本人男性の身長の分布はほぼ正規分布にあてはまり,平均が170.5cm,標準偏差が5.9cmであるとしましょう.そのとき身長160cm以下は,全体のどれだけいるでしょうか?
NORMDIST(160, 170.5, 5.9, true)と入力して,計算できます.
目標数値、平均、標準偏差、trueは下側累積確率

NORMDIST関数で正規分布の確率を求める

オプションのデルタはインする(当該権利行使価格を超える)確率だと言われます。
8/25現在9月限の24125円のコールのデルタは約0.17前後(楽天のマーケットスピードより)。
さて、NORMDIST関数で正規分布の確率が求められますが、だとするとデルタと同じ数値になりそうです。
そこで実際にデルタがでるかどうか検証してみます。
結論から言うと、少々値に工夫が必要です。

通常NORMDIST関数では(値, 平均, 標準偏差, 関数形式)といった数値を代入していくようですが、そのまま代入してもいわゆるデルタにはなりません。
値は目標数値、平均は直近終値、標準偏差は残存日数を乗じたものになります。関数形式はtrueで、コール側で○円以上の確率を求める場合は1-normdist(値, 平均, 標準偏差, 関数形式)となります。
具体的には、SQ日に上記24125円以上になる確率を求めたい場合は値に24125。
平均は直近終値なので23300(現物)。
標準偏差は残存日数分の直近の偏差を出して、その偏差に残存日数をルートしたものを乗じます(偏差を出す場合は当該期間をルートします)。その数値をさらに直近終値に乗じます。今回はIVを代入しますが、IVをまず1日あたりになおします。楽天は営業日数ではなく365日ですから365の平方根19.1。IV16.14割る19.1で0.845%。これに残存日数17の平方根4.12を乗じて偏差が3.48%
すると24125円以上になる確率は0.153となります。実際のデルタ0.16。
通常の標準正規分布の場合、平均値というものがありますが株価などの場合は騰落率から算出していくので騰落率の平均値はほぼゼロ近辺になってしまいます。また、通常の標準正規分布では残存日数などの概念がありません。このようなことからnormidist関数がそのまま使えませんが、多少工夫すると使えそうです。逆に言えばそのまま使用しても将来のインする確率はだせないでしょう。
次にIVではなく実際の日経平均のボラティリティを使ってみます。直近20営業日のボラティリティは1.15%。残存営業日数はSQ日も含めると13日で平方根3.6を1.15に乗じると4.14%。これに23300円をさらに乗じて偏差として代入。そうすると24125円以上になる確率は19.6%になります。