10年で1億円が1万円になるETN、VXXを売っておけば誰でも儲かるという誤解

https://sixfigureinvesting.com/2018/12/vxx-maturity-vxxb-replacement/
上記記事によればどのようなパフォーマンスだったかが詳しく記載されているので一部抜粋引用致します。

2009年1月30日の開始時に購入したVXXの100万ドル相当の最終価値:96.50ドル
開始以来のパフォーマンス:-99.9904%

となっています。このような事からVIX先物を買い続けるより売ったほうがいいということが浸透し、VIX売り=VXXの売り、VIXインバースの買いがもてはやされました。
しかし、2018年のVIXショックによりその神話は一気に崩れ去ったかと思われましたが喉元過ぎればなんとやらでVIX先物のCFDである米国VIや、UVXYのCFDである米国VIブルETFを売っている人が多数いました。
そしてごコロナショックが発生。もはや説明不要かと思います。
まず、VXX売りが注目されていたのは長期的に右肩下がりのチャートを描くというインパクトでしょう。そして現実に上記記事のように価格がどんどん下がっていますから売れば儲かると考えるのが普通です。
めざとい投資家はVIXを売っているなどと言われていましたが、結論から言えばこれはかなり誤解を含んでいます。
まず、VXXは買うのではなく売って利益をあげる手法ですから当初売り始める金額よりは利益があがりません。この点逆に買いから始める場合は価格が上昇していけば資産がどんどん増加していくのとまったく違う点に注意が必要です。

VXXチャートのマジック

買いから入る場合と売りから入る場合の違い

仮に価格が1000円から50%上昇すれば1500円、そこから50%上昇すれば2250円になります。しかし、売る場合は1000円から50%下落すれば500円、そこから50%下落すれば250円となり、上昇する場合は1250円儲かるのに下落する場合は750円しか儲かりません。
にもかかわらず、VXXの長期チャートは価格がどんどん下がっていきます。これは価格が安くなると併合を繰り返すためその時点で価格が上昇するからです。従ってあのチャートは実際の価格を追ったチャートではなく併合を繰り返した理論値になります。
言い換えれば価格が下落していったら儲かった金額を再投資にまわしているようなものです。でなければ99万9900ドル儲けるためには最初から100万ドル投資する必要があります。
このVXXはリーマンショック後の2009年に設定されていますが、単純に2009年に売り始めると1年で2009年は67%ほどの利益が出ていたことになります。言い換えると売り総額が33万ドルまで減少。
翌年のVXXの下落率は約70%ほどですから、33万ドルが10万ドル程度まで減少しどんどん利益が小さくなっていきます。実際の値動きは違いがでてきますがいずれにしろ最初の数年で利益のほとんどが出てしまうことになります。
こうなると、結局利益を再投資したくなります。
 
以下の表は当初100万円分を売り、1年ごとに利益を再投資していった場合のシミュレーションです。

VXX売りを毎年利益確定し再投資した場合

投資額 利益 vxx
100 67.19 2009 -0.6719
167.19 118.7551 2010 -0.7103
285.9451 4.346365 2011 -0.0152
290.2914 222.1891 2012 -0.7654
512.4805 315.2267 2013 -0.6151
827.7072 220.5012 2014 -0.2664
1048.208 372.4285 2015 -0.3553
1420.637 986.7744 2016 -0.6946
2407.411 1689.04 2017 -0.7016
4096.451 -2889.64 2018 0.7054

なぜVIX売りは儲かりそうで儲からないのか?

再投資し続けると資産が最大40倍になるVXX売り

2017年の終わり要するに2018年の投資額はなんと4000万の40倍にまで膨れ上がります。
さて、このようにVXX売りがうまくいって売りを追加していくと2018年に大きな損失を被ります。

VXX売り戦略の落とし穴

2018年は70%ほどVXXは上昇しているのでせっかく40倍の4096万にまで膨れ上がった資産が1200万まで減少しています。それでも約10年で12倍にまでなっているので十分なリターンと言えそうです。
しかし、このVXX売り戦略は落とし穴があります。
投資して時間が経ってからであれば大きな損失でも致命傷にはなりませんが、もし投資開始直後にリーマンショックやコロナショックなどのVIX急騰相場を受けたらどうでしょうか?
そう考えるとやはり、VXX売りは儲かるからと最初から大量に売るのには勇気がいります。
 
また、1年ごとの騰落でみていますので短期的にみれば価格が2倍にも3倍にもなっている時期があります。
2018年は当初27ポイント程度だったものが一時55ポイント程度の2倍になっています。このときもし4000万円分売っていたら4000万の含み損を抱えることになります。どうせ当初100万円で始めたからと余裕を持ってPCの画面を見ることのできる人がどれくらいいるでしょうか。